「気にしすぎ」と言われて傷つくのは、意見が違うからではありません。感じたこと自体が、無かったことにされるからです。 意見には返せますが、量には返せない。そして、自分が気にしすぎかどうかは、判定しなくて大丈夫です。
言われた瞬間、少し音が遠くなる感じがあります。
そんなに気にすることないよ。考えすぎだって。気にしすぎ。
その場では、たぶん笑って「だよね」と言いました。言ったあとで、話が続かなくなったのを覚えていますか。
「気にしすぎ」と言われて傷つくのは、なぜか
言われているのが意見ではなく、感じたことの「量」だからです。 意見には反論できますが、量には反論できません。
たとえば「わたしはそうは思わないな」なら、意見の話です。反論もできるし、そういう見方もあるか、と置いておける。
でも「気にしすぎ」は、感じたこと自体の量が多すぎる、という言われ方です。「いや、これは適量です」とは言えないので。
だから黙るしかなくなる。 そして黙ったあとに残るのが、あの、行き場のない感じです。
自分でも「気にしすぎかも」と言ってしまう
これが、いちばんしんどいところだと思います。
言われたその夜に、自分で「たしかに気にしすぎかも」と言い直します。
外から一回、内から一回。二回消されます。
わたしは、この二回目のほうが効くと思っています。他人に否定されるのは慣れることがありますが、自分に否定されるのは、逃げ場がないので。
「気にしすぎ」と言う側に、悪気はあるのか
たいていの場合、ありません。楽にしてあげようとして出てきます。 そして、そこがいちばん厄介なところです。
深刻に受け取ると、相手まで重くなる。だから軽くする。軽くすることが優しさだと思っている人は、たくさんいます。 わたしも、誰かに対して同じことを言ったことがあると思います。
悪気がないので、怒れません。 怒れないまま、飲み込むことになる。そして飲み込んだものは、消えません。 夜中に戻ってきます。
ここで言いたいのは「相手を許しましょう」ではないです。 そうではなくて、相手に悪気があるかどうかと、あなたが傷ついたかどうかは、別々に置いていいということです。
同時に成り立ちます。両方とも本当です。
自分が気にしすぎかどうかは、判定しなくていい
判定しても答えが出ないうえに、出たとしても何も変わらないからです。
比べる相手がいません。同じ場面で他の人がどれくらい気にするかは、見えません。見えないものと自分を比べているあいだ、時間だけが減っていきます。
そして、判定に成功しても何も起きません。「気にしすぎだった」と分かったところで、気にしている状態は変わらないので。
「気にしている」という事実だけを置く
「わたしは、これを気にしている。」
これは、量の話ではありません。起きていることの記述です。多いとも少ないとも言っていないので、誰にも否定されません。
一度これに置き換えると、次の質問が変わります。
「気にしすぎかどうか」ではなく、「気にしている状態のまま、今日どうするか」になります。
こっちは、答えが出ます。
言われたあとに、やっておくこと3つ
打ち消しに使わない/話題ごとに相手を分ける/感じたことに名前をつける、の3つです。 どれも相手に何かを求めるものではありません。
1|「気にしすぎかも」を、打ち消しに使わない
禁止すると、たぶん逆に増えます。
かわりに、思ったときに一言だけ足してください。
「気にしすぎかも。でも、いま気にしてる。」
打ち消しではなく、追加です。前半を消さなくていいです。 両方置いておけます。
2|話題ごとに、相談する相手を分ける
これは、関係を切る話ではありません。
話題ごとに、相手を分けていいという話です。 仕事の愚痴を言える人、恋愛の話ができる人、何も話さずに一緒にいられる人。全部が同じ人である必要はないです。
「気にしすぎ」と言った人が、悪い人とも限りません。その話題に向いていなかっただけかもしれない。
そう思えると、少し楽になります。縁を切るか我慢するかの二択でなくなるので。
ちなみに、そもそも友達に切り出せない話というのもあります。それは友達に相談できないとき|話しにくい3つの理由と、ほかの相談先のほうに書きました。
3|感じたことに、名前をつける
「もやもや」で止めずに、もう一段だけ進めます。
悔しいのか。心細いのか。呆れたのか。恥ずかしかったのか。
当てにいかなくていいです。 三つくらい候補を出して、いちばん近いものを仮に置くだけで大丈夫です。
名前がつくと、少し扱いやすくなります。扱いやすくなるだけで、消えはしません。 それでいいと思います。消すのが目的ではないので。
気の持ちようではないときは、どこへ相談するか
眠れない日が続く、食べられない、起き上がれない、消えてしまいたい。このどれかがあるときは、医療機関や公的な相談窓口が最初です。
- 眠れない日が、何日も続いている
- 食べられない、あるいは止まらない
- 朝、起き上がれない
- 消えてしまいたい、と思うことがある
これは、占いや雑談で扱う話ではないです。 匿名で相談できる公的な窓口があります。
「気にしすぎ」と言われ続けたせいで、自分で言い出しにくくなっていることがあります。 そのときも、行っていいです。行くのに、深刻さの証明は要りません。
言い返せなかった夜を、どう終わらせるか
「わたしは、これを気にしている」をそのまま置いて、判定しないと決めて、明日の自分に渡します。
その場で言い返せなかったことを、あとから何度も再生してしまうことがあります。あのとき、こう言えばよかった、と。
再生してしまうのは、まだ処理が終わっていないからだと思います。 弱いからではありません。
今夜できることは、たぶんそれくらいです。それで十分だと思います。 言い返せたかどうかより、飲み込んだものに名前がついたかどうかのほうが、明日に効きます。
おやすみなさい。
よくある質問
Q. 本当に気にしすぎなのか、確かめる方法はありますか。
A. ありません。 同じ場面で他の人がどれくらい気にするかは見えないので、比べようがないからです。確かめるかわりに「気にしている」という事実だけを置くほうが、次に進めます。
Q. 「気にしすぎ」と言われたら、言い返したほうがいいですか。
A. 言い返せるなら言い返していいですが、必須ではありません。 多くの場合、相手に悪気がないので、言い返しても噛み合いません。話題ごとに相談相手を分けるほうが、消耗が少ないです。
Q. もやもやが消えません。
A. 消すのが目的ではないと思います。 名前をつけると扱いやすくはなりますが、消えはしません。ただし、眠れない・食べられない・起き上がれないが続くときは、別の話です。 医療機関や公的な窓口へ相談してください。